仕事をするうえで、AIは私にとって欠かせない存在になりました。
情報を整理したり、構成を考えたり、プレゼン資料のたたき台を作ったり。以前なら時間がかかっていた作業も、AIを使うことでかなり早く形にできます。
ただ、私はすべての資料を同じ方法で作っているわけではありません。
自分の考えを整理する資料や、すでに決まっている内容を共有する資料であれば、資料作成の大部分をAIに任せることもあります。
一方で、相手に内容を理解してもらい、その後の行動につなげたいプレゼンや、自分の評価や成果に関わる重要なプレゼンは別です。
そうした資料では、Claudeに情報整理とアウトライン作成を手伝ってもらい、その先のスライドへの配置、図解、見出し、言葉の選定、最終確認は自分で行っています。
AIで資料そのものは作れます。
それでも重要なプレゼンほど自分で仕上げたい。
今回は、実際に資料を作る中でそう考えるようになった理由を書いてみます。
プレゼンの目的で、AIに任せる範囲を変える
AIへどこまで任せるかを考えるとき、私が基準にしているのは資料のページ数や見た目ではありません。
そのプレゼンを通して、相手に何をしてもらいたいのか。
ここを考えています。
情報を整理したり、分かりやすく共有したりすることが目的であれば、AIを中心に資料を作っても大きな問題を感じないことがあります。
一方で、相手に納得してもらう必要がある場合や、プレゼン後の行動につなげたい場合は、資料が綺麗に完成するだけでは足りません。
- なぜこの話をするのか
- 相手に何を感じてほしいのか
- 一番伝えたいことは何か
- 最後にどう動いてほしいのか
こうした部分には、自分自身の考えが必要です。
だから私は、重要なプレゼンではAIに完成品を作ってもらうというより、自分が考えるためのサポートをしてもらうようにしています。
まず音声入力で、自分の頭の中をClaudeに渡す
重要なプレゼン資料を作るとき、私は最初に自分の考えを音声入力でClaudeへ伝えます。
この段階では、きれいに整理して話そうとはあまり考えていません。
- プレゼンをする目的
- そのテーマを考えるようになった背景
- 相手に伝えたいこと
- 自分が迷っていること
- 最終的に相手にどう動いてほしいか
こうした内容を、できるだけ削らずに話します。
私は普段からAIとのやり取りに音声入力をよく使っていますが、重要な資料ほど短い指示文だけで済ませず、背景や自分の考えまで含めて伝えるようにしています。
そこからClaudeに情報を整理してもらい、10枚前後の資料になるようにアウトラインを作ってもらいます。
ここまでは、かなりAIに助けてもらいます。
ただ、アウトラインができたところで資料完成とは考えていません。
スライドへの落とし込みは自分で考える
アウトラインができた後は、自分で実際のスライドへ落とし込んでいきます。
例えば、
- どの情報を同じスライドに置くか
- 何を図解するか
- どの言葉を見出しにするか
- どの一文を強調するか
- どの順番なら相手が理解しやすいか
といった部分です。
AIが整理した文章を、そのまま上から順番にスライドへ貼っていくわけではありません。
同じ内容でも、どこに置くか、どれだけ大きく見せるか、図にするか文章にするかで、受け取り方はかなり変わります。
私にとって、この部分は単なる「資料作成」ではなく、プレゼンそのものを考える作業です。

AIが作った言葉と、自分の言葉は同じではない
Claudeに資料作成まで任せると、かなり綺麗に整ったものができます。
情報が整理され、見出しも分かりやすい。一見すると、そのまま使えそうに感じます。
ただ、何度か資料を作る中で、綺麗な資料と、自分が話せる資料は別物だと感じるようになりました。
AIが提案する文章には、内容として間違っていなくても、自分なら使わない言葉が入っていることがあります。
自分の考えより少し強く断定していたり、普段使わない難しい表現になっていたりすることもあります。
そのまま資料に残してしまうと、実際にプレゼンするときに違和感が出ます。
資料には書いてあるのに、自分の口から自然に出てこない。質問されたとき、その言葉について自分で説明できない。
それでは、自分の資料とは言いにくいと思っています。
そのため私は、
自分で説明できない言葉は資料に残さない
ということを意識しています。
AIが考えた難しい言葉を使うより、自分が理解して、自分の言葉で説明できる表現に直す。見た目として少し地味になったとしても、その方が実際のプレゼンでは話しやすくなります。
完成した資料を使って、今度はClaudeと練習する
資料への落とし込みが終わったら、Claudeの役割はもう一度変わります。
今度は、資料を作る相手ではなくプレゼンの練習相手として使います。
実際に声に出して説明してみると、
- スライド同士のつながりが不自然
- 説明が長くなりすぎる
- 見出しと話す内容が合っていない
- 背景説明が足りない
- 自分でも説明しづらい箇所がある
といった違和感が見つかります。
何度か練習すれば、おおよその発表時間も見えてきます。
時間を超えそうなときは、Claudeに削れそうな部分を挙げてもらい、それを参考にしながら、最終的に何を残すかは自分で判断します。
さらに、各スライドの要点を確認してもらったり、プレゼン後に聞かれそうな質問を出してもらったりもします。
想定質問を見てみると、自分では理解しているつもりだった部分が、実は説明しきれていなかったことに気づくこともあります。
AIは資料を作るためだけではなく、自分の考えを深める壁打ち相手としても使えると感じています。
AIとの壁打ちだけで完成させない
一方で、Claudeとの壁打ちにも気をつけていることがあります。
自分の考えを何度も伝えていると、AIはそれをどんどん分かりやすく整理してくれます。その結果、資料は自分にとって非常に納得感のあるものになっていきます。
でも、自分が納得できることと、聞き手に伝わることは同じではありません。
AIは基本的に、私が入力した情報をもとに考えます。
そのため、壁打ちを重ねるほど「自分が話したいこと」は綺麗になっていっても、「相手が知りたいこと」から離れてしまう可能性があります。
だから最後に、
これは自分が話したい順番ではなく、相手が理解しやすい順番になっているか
をもう一度確認します。
AIとの対話だけで閉じず、最後は聞き手の立場に戻る。これは意識しておきたいポイントだと思っています。
「資料が綺麗」から「熱意が伝わった」へ
以前は、AIが整えた構成や表現を中心に資料を作っていた時期もありました。
その頃、プレゼン後には、
「資料が綺麗だった」
「資料がまとまっていた」
「どうやって作ったの?」
といった反応をいただくことが多くありました。
もちろん、そう言ってもらえるのは嬉しいことです。
ただ、振り返ると、評価されていたのはプレゼンの内容よりも、資料そのものだったようにも感じます。
その後、アウトラインを作る段階ではAIと何度も壁打ちしながら、実際のスライドへの落とし込みはすべて自分で行ったプレゼンがありました。
そのプレゼン後、先輩から、
「とても熱意が伝わった!」
と声をかけてもらいました。
この言葉は、とても印象に残っています。
もちろん、資料の作り方だけで反応が変わったとは言い切れません。テーマや聞き手など、ほかにもいろいろな条件があったと思います。
それでも、自分で言葉を選び、何をどう見せるかを考え、自分が納得できる資料にしたことで、話し方にも何かが表れたのかもしれません。
見た目の綺麗さだけではなく、自分の考えが自分の言葉として資料に乗っていること。
それは聞き手にも伝わるのだと感じた経験でした。

最後の責任は自分が持つ
資料を確認するときには、誤解を招く表現や、強く断定しすぎている箇所がないかについてもClaudeに見てもらうことがあります。
ただし、AIの確認だけで終わらせることはしません。
必要であれば社内ルールや正式な資料とも照らし合わせ、最後は自分で確認します。
AIは見落としに気づくための補助にはなりますが、資料に何を書くか、プレゼンで何を話すかの責任まで持ってくれるわけではありません。
ここも、AIと人間の役割を分けて考える必要がある部分だと思っています。
AIに任せるかではなく、どこを任せるか
私は、AIだけで資料を作ることが悪いとは思っていません。
目的によっては、資料作成の大部分をAIへ任せた方が効率的です。
一方で、重要なプレゼンまで同じ作り方をする必要もないと思っています。
今の私は、
- 頭の中にある情報を音声入力でAIへ渡す
- 情報整理とアウトラインはAIに助けてもらう
- 配置、図解、見出し、言葉は自分で考える
- 完成後はAIを練習相手として使う
- AIの指摘を参考にしつつ、最後は自分で判断する
という形に落ち着いています。
AIを使えば、資料を作るスピードは上げられます。
でも、プレゼンの目的は資料を完成させることではありません。
相手に伝え、自分自身が納得して話せるところまで持っていくことです。
だから重要なプレゼンほど、AIの力を借りながら、最後は自分の言葉と判断で仕上げたい。
今の私には、この役割分担が一番しっくりきています。
あわせて、Claude CodeとCodexで変わった私の働き方と、AIは駆使する。でも、人生の決断までは委ねないもご覧ください。




