AIに質問すると、文章で答えが返ってくる。
これまで当たり前だったこの形が、少しずつ変わろうとしています。
OpenAIは2026年10月7日、ChatGPTに「Intelligent UI」という新しい機能を導入すると発表しました。質問の内容に応じて、文章だけでなく、画像、ボタン、フォーム、グラフなどを組み合わせた操作可能な画面を返す仕組みです。
今回はこの発表をもとに、AIがその場で画面を作るようになったとき、WebサイトやWeb制作にはどんな役割が残るのかを考えます。
答えを文章ではなく、使える形で見せる
OpenAIの発表では、比較なら横に並べた表示、仕組みの説明なら操作できる図、計算が必要ならその場で使えるツールというように、質問に合った形式をAIが選ぶと説明されています。
たとえば、貯蓄額を試算する計算機や、食事代を分けるツールを会話の中で作る例が紹介されています。表示には、あらかじめ用意した部品と、生成中の画面を処理する仕組みが使われるとのことです。
詳しい発表内容は、OpenAIの公式ページで確認できます。
ここで発表されているのは、ChatGPTのChat画面における機能です。すべてのWebサイトや制作ツールで同じ仕組みが利用できると発表されたわけではありません。
小さな事業でも「読む」から「操作する」へ
小規模事業者の情報発信に置き換えると、文章を読むだけでは分かりにくかった内容を、操作しながら確認できる場面が増えるかもしれません。
たとえば、次のような使い方が考えられます。
- 複数のサービス内容を、条件に合わせて比較する
- おおよその費用や必要量を、その場で試算する
- 希望する内容を選びながら、相談前の情報を整理する
- 手順や仕組みを、図の一部を切り替えながら理解する
これらは今回の発表から考えた編集上の例であり、SunnySideDesignでIntelligent UIを使って提供した実績ではありません。
大切なのは、画面が派手になることではなく、利用する人が次に何をすればよいか分かることだと思います。文章、図、ボタンのどれが適切かは、目的によって変わります。
Webサイトの役割は、なくなるのではなく整理される
AIがその場で画面を作れるなら、固定されたWebサイトは必要なくなるのでしょうか。
現時点では、そう単純ではないと考えています。
事業の公式サイトには、営業時間、サービス内容、料金、所在地、問い合わせ方法など、誰が見ても同じであることが大切な情報があります。ブランドの雰囲気や、事業者が何を大切にしているかを継続して伝える役割もあります。
一方、AIが作る画面は、その人の質問や条件に合わせて情報を見せることに向いています。
固定されたWebサイトを「正しい情報を置く場所」、AIの画面を「その情報を自分に合う形で理解する場所」と考えると、二つは競合するだけではなく、役割を分けられそうです。
これはOpenAIが示した結論ではなく、今回の発表をWeb制作の立場から考えた編集上の提案です。
AIが画面を作るほど、元の情報整理が大切になる
AIが見やすい画面を作っても、元になる情報が古かったり、条件が曖昧だったりすれば、利用する人を迷わせてしまいます。
そのため、これからのWeb制作では見た目を整えることに加えて、次のような準備がより重要になるかもしれません。
- 公式情報と参考情報を分ける
- 料金や営業日など、変えてはいけない情報を明確にする
- 選択肢や条件を整理し、比較しやすくする
- AIに任せる判断と、人が確認する判断を分ける
- 最後に問い合わせや予約へ進む導線を決める
これは、Webサイトを作る前に目的や情報の優先順位を整理する作業とよく似ています。
画面をAIが組み立てるようになっても、「誰に、何を、どの順番で伝えるか」を考える仕事は残ります。むしろ、表示の形が増えるほど、情報の土台を整える必要性は高まりそうです。
Intelligent UIを使って、英語学習のロードマップを作ってみた
今回のChatGPTのアップデートで利用できるようになった「Intelligent UI」も、実際に触ってみて面白いと感じた機能のひとつです。
Intelligent UIは、チャットの回答の中に、スライダーやボタン、グラフなどの操作可能なUIを表示できる機能です。
今回、私はこの機能を使って、英語学習のロードマップを作成してみました。
目標はCEFR B2レベル。現在の英語力や確保できる学習時間をもとに、1日の学習時間や学習ステージを変更しながら、週間・年間の学習時間をその場で確認できるダッシュボードを作成しました。
実際に操作してみると、これが想像以上にわかりやすい。
例えば、平日の学習時間を60分から90分に変更すると、週間・年間の学習時間が即座に再計算されます。学習ステージを切り替えれば、その段階で取り組むべき内容も確認できます。
これまでもChatGPTに計算や学習計画の作成をお願いすることはできました。ただ、条件を変更するたびに「平日を90分にしたらどうなる?」「週末を30分に変更して」と、その都度質問し直す必要がありました。
Intelligent UIでは、自分で数値を動かしながら、結果の変化をリアルタイムで確認できます。
この「会話して答えをもらう」から「画面を操作しながら考える」への変化は、実際に使ってみると大きな違いだと感じました。
今回はたまたま英語学習をテーマにしましたが、活用できる場面はもっと幅広そうです。
例えば、資産形成であれば、毎月の積立額や運用期間、想定利回りを変更しながら将来の資産額をシミュレーションできます。マーケティングであれば、見込み顧客数や成約率、顧客単価を動かしながら売上の見通しを検討することもできるでしょう。
もちろん、シミュレーションの結果は入力条件や前提に左右されるため、その数値が将来を保証するわけではありません。それでも、複数の条件を比較しながら考えるための道具としては、非常に便利だと感じています。
特に印象的だったのは、数字をただ読むのではなく、自分で動かすことで理解が深まるということです。
これからのAI活用では、文章による回答だけでなく、ユーザーが直接操作できるビジュアルUIの重要性がますます高まっていくのではないでしょうか。
Intelligent UIは、AIを単なる「質問に答えてくれる存在」から、「一緒に考え、試行錯誤できる道具」へと進化させる機能のひとつだと感じました。
まとめ
Intelligent UIの発表は、AIの返答が文章から「操作できる画面」へ広がる動きです。
小規模事業者にとっても、比較、試算、相談前の情報整理など、情報を分かりやすく届ける選択肢が増える可能性があります。
ただし、画面を作れることと、正しい情報を届けられることは別です。
Webサイトに置く公式情報を整え、AIに任せる範囲と人が確認する範囲を決める。新しい機能を見るときも、まずはその土台から考えたいと思います。




