AIで仕事を自動化したいと思ったとき、いきなり仕組みを作り始めるわけではありません。
私はまず、やってほしいことをチャットで相談します。
「この作業は自動化できるのか」
「どこまでならAIに任せられるのか」
「実現するには、どんな材料が必要なのか」
こうしたことを整理してから、CodexやClaude CodeなどのAIコーディングツールを使って実装していくことがよくあります。
その中で大切だと感じているのが、AIへ何を渡すかだけでなく、どんな形で渡すかです。
私は、指示や日々の記録をMarkdown形式で保存し、AIには対象のフォルダを指定して読んでもらう方法を使っています。
自動化できるか、まずチャットで相談する
自動化というと、最初からプログラムを書くイメージがあるかもしれません。
でも実際には、作り始める前の相談がとても重要です。
たとえば、次のようなことをチャットで確認します。
- 今の作業は、どんな順番で進めているか
- 毎回同じ部分と、人の判断が必要な部分はどこか
- 入力として何を渡せるか
- 最後にどんな成果物が必要か
- 間違えたときに、どこで止めるべきか
相談してみると、すべてを自動化するより、「ここまではAI、最後の確認は人」と分けた方がよい場合もあります。
実現できそうだと分かったら、CodexやClaude Codeに必要なファイルや条件を渡し、小さく実装して確認します。
私にとってチャットは、完成した指示を一方的に渡す場所ではなく、自動化する範囲を一緒に整理するための場所です。
フォルダとMarkdownで、材料の置き場所を決める
AIに仕事を頼むとき、毎回すべての前提をチャットへ貼り付けるのは大変です。
そこで私は、作業に必要な材料を一つのフォルダにまとめ、そのフォルダを指定して読んでもらうようにしています。
たとえば、構成は次のようなイメージです。
project/
├── README.md
├── instructions.md
├── notes/
│ ├── daily-log.md
│ └── ideas.md
├── drafts/
└── outputs/
README.mdにはプロジェクトの目的、instructions.mdには守ってほしい条件、notesには日々の振り返りやメモを残します。作成した草稿や成果物は、用途に応じてdraftsやoutputsへ保存します。
実際の名前や分け方は作業によって変わりますが、「どこに前提があり、どこへ成果物を保存するか」が分かる状態を意識しています。
こうしておくと、次に作業するときも、AIが同じ材料を参照しやすくなります。私自身も、過去の判断や途中経過を探しやすくなりました。
指示や記録をMarkdownで残す
私は、AIへ渡す指示をWord形式ではなく、基本的にMarkdown形式で保存しています。
日々の活動の振り返り、メモ、日記、コラムの下書きなども、Markdownで残すことが増えました。
Markdownは、見出し、箇条書き、リンク、コードなどの構造を、シンプルな文字として表現できます。装飾やレイアウトの情報が少ないため、内容と階層が分かりやすく、AIにも人にも読み返しやすいと感じています。
提出用の文書や、細かなレイアウトを整える作業にはWordが向いています。
一方、AIへ渡す材料として考えると、Markdownには次のような扱いやすさがあります。
- 見出しごとに情報を分けやすい
- 条件や禁止事項を箇条書きにできる
- 変更した箇所を比較しやすい
- 特別なソフトがなくても読める
- 必要な部分だけを更新しやすい
- コードやファイル名を文章と一緒に残せる
ファイル形式を意識して材料を渡すことで、AIが内容の構造をつかみやすくなり、認識のずれを減らしやすくなると感じています。
ただし、Markdownにすれば自動的に正確になるわけではありません。大切なのは、情報の場所と意味を整理し、古い条件を更新することです。
顧客ごとに「守る条件」を育てていく
顧客によって、文章のトーンやデザインの方向性は変わります。
たとえば、画像生成をするときの色や雰囲気、メールの下書きを作るときの言葉づかいは、すべての顧客で同じではありません。
そこで私は、顧客ごとのフォルダにMarkdownファイルを用意し、その顧客に合わせた条件を記録しています。
たとえば、次のような内容です。
- ブランドの雰囲気や大切にしていること
- 使用する色や避けたい表現
- 文章の丁寧さや言葉づかい
- メールで必ず確認する項目
- 画像生成で維持したいデザインの方向性
- 変更してよい範囲と、変えてはいけない部分
- 成果物を保存する場所とファイル名のルール
最初から完璧な条件を作るのではなく、実際に作業する中で気づいたことをMarkdownへ追記していきます。
「この言い回しは少し硬かった」
「この色はブランドの印象と合わなかった」
「メールには、この確認項目も必要だった」
こうした修正をチャットの中だけで終わらせず、次回も参照できる形で残します。
条件を更新するほど、その顧客に合った提案や草稿を作るための土台が少しずつ育っていきます。
成果物も同じプロジェクトへ積み重ねる
条件だけでなく、生成した成果物も同じプロジェクトの中へ保存します。
画像、メールの草稿、コラム、メモ、検討中の案などがフォルダに積み重なると、「前回は何を作ったか」「どんな表現を使ったか」を次の作業で確認できます。
これは、AIがすべてを自動的に記憶してくれるという意味ではありません。
必要な記録をファイルとして残し、次の作業で参照できる状態にしているということです。
人に仕事を引き継ぐときに、過去の資料やルールをまとめるのとよく似ています。AIを使う場合も、判断材料が整理されていれば、毎回ゼロから説明する必要が少なくなります。
OpenAIの事例にも共通する「材料と基準」
OpenAIは2026年10月20日、3店舗を運営する独立系フランチャイズ事業者が、価格分析や勤務シフト、給与計算、現金照合などにChatGPTとChatGPT Workを使った事例を公開しました。
価格分析では現在価格や競合情報を使い、売上履歴や仕入れ価格を加えて分析を詳しくする方法も紹介されています。勤務シフトの検討では、従業員の役割や勤務可能時間などを渡しています。
初めて価格分析に使ったときは、従来の方法でも分析して結果を比較しました。勤務シフトも、店長が作った案と比べて不足していたルールを見つけ、指示を調整しています。
月次の現金照合が3時間から5〜10分になったことなどが紹介されていますが、これは特定の事業者による結果です。同じ効果がほかの事業でも得られると保証するものではありません。
私が普段行っているMarkdownでの情報整理と、この事例に共通しているのは、AIに「いい感じにやって」と任せるのではなく、材料、条件、確認方法を渡していることです。
顧客情報は必要な範囲だけ、安全に扱う
顧客ごとに情報を整理する場合、何でもファイルへ保存してよいわけではありません。
パスワード、APIキー、認証情報、不要な個人情報は保存しないことが前提です。顧客名や内部情報を外部サービスへ渡してよいか、契約や利用環境の条件も確認する必要があります。
AIへ渡す材料は、次のように分けて考える必要があります。
- 作業に本当に必要な情報
- 匿名化しても支障がない情報
- AIへ渡してはいけない情報
- 人が最後に確認しなければならない内容
情報を整理することは、AIにたくさん読ませることではありません。必要なものだけを、安全な範囲で渡すことも含まれます。
まとめ
私がAIで仕事を自動化するときは、次のような流れで進めています。
- 自動化したいことをチャットで相談する
- AIに任せる部分と、人が判断する部分を分ける
- 必要な材料をフォルダへまとめる
- 指示や記録をMarkdownで保存する
- CodexやClaude Codeで小さく実装する
- 結果を確認し、条件をMarkdownへ反映する
- 成果物と判断の記録を同じプロジェクトへ蓄積する
AIを使いこなすために必要なのは、特別な指示を一度で書き切ることではないと思います。
仕事の材料を整理し、試した結果を残し、次に使える条件へ更新していく。
Markdownは、その積み重ねを人とAIの両方が読みやすい形で残すための、シンプルな道具です。
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※ アイキャッチは、Markdownで材料や成果物を整理する流れを表したAI生成イラストです。




